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TPPの21の交渉分野とは何か?その6 貿易救済(セーフガード等) [世界経済と日本]

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今日はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)!21の交渉分野の6番目の貿易救済(セーフガード等)について解説致します。

6. 貿易救済(セーフガード等)とは何か

貿易救済措置とは、一般的にセーフガードと呼ばれるものやアンチ・ダンピング措置、そして補助金相殺関税等を示します。

先ずセーフガードとは、国内産業に重大な損害等を与え又は与えるおそれがあるような輸入数量の増加に対し、輸入国側の政府が発動する関税引上げや輸入数量制限を課す緊急措置をセーフガードと言います。

この緊急措置は、GATT第19 条やWTOセーフガード協定により認められ、発動に際しては、補償の提供や相手国の対抗措置を受認することが結果的に求められます。

例えばFTAで関税の撤廃や引下げの結果、相手国産品の輸入が急増し、国内産業に重大な損害が生じたり生じるおそれが発生した時は、関税撤廃や引下げの約束を一時的に撤回し、GATTの最恵国関税に戻すことを認める事実上のセーフガードの規定を設けています。

現在交渉中のTPP交渉では、発動可能な期限を対象品目の関税が撤廃されるまでの期間に限るか否かを始めWTO協定の一般セーフガードを基礎とするべきか、TPP締約国間でのみ適用されるセーフガードを認めるか否かや関税撤廃に10 年超の期間を要するセンシティブ品目を対象にしたセーフガードの扱い等が議論の対象になると思われます。

次にアンチ・ダンピング措置と補助金相殺関税とはどの様なものか考えてみましょう。

先ずダンピングの定義は、ある商品の輸出向け価格が、その商品の国内向け販売より安い価格で行われることをいいます。

これに対する対抗措置として国内産業が損害を被った輸入国は、輸出国国内向け販売価格と輸出向け販売価格との差を上限とする関税所謂アンチ・ダンピング税を賦課して対抗することになります。

しかしながら度を過ぎた補償や相手国による対抗措置等の濫用を防ぐため、GATT第6条やWTOアンチ・ダンピング協定に設けられており行き過ぎに歯止めがかけられます。

補助金相殺関税とは、輸出国の補助金による商品の価格押下げにより国内産業に損害を受けた輸入国に対し、特別関税である相殺関税の賦課を認めるものを言います。

具体的にはGATT第6条やWTO補助金・相殺関税協定にこれを認める規定が設けられています。

FTAではアンチ・ダンピング関連規定は大きく3つに分類され、WTOアンチ・ダンピング協定の権利・義務を確認するもの、同協定よりも規律を強化するもの、締約国間で同協定の不適用を規定するものがあります。

結果的にTPP交渉ではアンチ・ダンピング協定については明確に決められる状況では無い事が伺われますし、国益や国民の生活を考えればセーフガードは必要不可欠なものではないでしょうか。


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