TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その13 サービス5 [世界経済と日本]
アメリカから自動車の部品を輸入するとご覧の様な通関書類と納税証明書が現在が必要ですですが、TPP交渉ではこれが撤廃されるものと考えられます。
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その14 サービス5は電子商取引について解説致します。
14.電子商取引
最近アマゾン等でインターネット上から注文すると海外から発送されて来る事がある事に気付かれた方も多いのではないでしょうか。
また、インターネット上から直接海外のサイトにアクセスして注文する事も可能になり日本国内で手に入らない、入り難いものが直接注文出来る様になり比較的安く手に入れる事が出来る様になりました。
この様に国際的な電子商取引が増えて来ますとその利用に対する信用確保や電子商取引の利用に対する代金の決済や通関、課税、送料等の障害を回避する必要性を認識されている方も多いのではないでしょうか。
最近では海外のサイトからソフトウエア-をダウンロードして購入する事も多くなりました。
これには課税がされない事をご存じでしょうか。
これはWTOで「グローバルな電子商取引に関する宣言」が、1998 年5月の第2回閣僚会議で採択され、その中に「加盟国が電子送信に関税を賦課しないという現在の慣行を継続すること」が宣言されたからです。
これを関税不賦課モラトリアムと言います。
これにより、海外からのソフトウェア等のダウンロードに関税が賦課されていない訳で、裏を返すと国内のソフトでも国内で買えば消費税がかかりますが、同じソフトを海外のサイトからダウンロードすれば消費税がかからない分安くなる可能性があります。
日本が締結したEPA(Economic Partnership Agreement)経済連携協定では、スイスとのEPAに初めて電子商取引章が盛り込まれました。
これは、ダウンロードされたソフトウェアや音楽データ等に、内国民待遇及び最恵国待遇が規定され、更に、WTOの関税不賦課モラトリアムの恒久義務化へ向け協力すること、電子署名、電子認証、貿易文書の電子化、オンライン消費者保護等が規定されています。
しかし、CD等の運搬用媒体に記録されたソフトウエア-には物品貿易章の規定が適用されます。
米豪FTAでは、関税を恒久的に賦課しないことが明記され、デジタル・プロダクトの範囲についてもCD等の運搬用媒体に固定されたプログラム等が含まれています。
EU( European Union)欧州連合は、電子商取引はサービス貿易の規律でカバーできるとして、電子商取引に独自のルールを設けることに消極的だと言われて居ます。
TPP交渉が締結されますと関税が結果的には廃止される可能性が高く、海外の製品が安く買えると言うメリットの反面、国内外の産業が激しい価格競争に晒されますし、税金が入って来ませんから政府の財政赤字の拡大に歯止めがかからなくなる恐れがあります。
また、政府が徴税が益々困難になりますと富の再分配が行われ難くなり、最終的には富める者と貧しい者との格差が米国並みに進むと思われます。
海外では大富豪が防弾装備付きの車で移動したり、武装した警備員を付けて居るのは、貧富の格差による治安の悪化による強盗や誘拐から身を守る為にその分のコストを支払う必要が生じて居る事を意味します。
TPPにより日本国内でも激しい格差が生じて来る事が予想され、政府の財政赤字もこのままでは更に進んでしまいますので、貧困層の拡大にセフティーネットが対応出来るのかも真剣に考えるべきではないでしょうか。