すみだ北斎美術館のお粗末な中身を知ろう!第55話状態の悪い版画のニ重購入の謎!
これは墨田区が平成25年度北斎資料収集基金で平成26年1月30日に葛飾北斎の版画として10万5千円で取得した葛飾北斎の版画「今戸川(いまどかわ)」です。
これは一見して価値の低い後刷り版画である事があるばかりか右側の補修もかなり雑で殆ど価値が無いものと見ていいと思います。
この「今戸川」は墨田区は既に保有している筈ですが敢て程度の悪すぎるこの版画を買う意味が解りませんし、ご覧の通り美術館での展示に耐えるものとは思えません。
後刷りである理由として版の初期のものなら画面右上に朱書きで「今戸川」の題名が摺られて居るからです。
これは墨田区が平成5年に取得したピーター・モースコレクションの中にある「今戸川」ですが、極めて版の程度が良く初版に近いものだと思われます。
これには右上に題名の「今戸川」が朱書きで摺られて居ます。
こうした背景を踏まえて墨田区の資料収集委員及び評価員の考察とやらをご覧いただきたいと思います。
永田生慈資料収集員の考察は「向かって右側にやや直しはあるのの、その分切り落されておらず保存も悪くない。壮年期の代表的な風俗図の一図である」書かれております。
この考察には矛盾がある事にお気づきでしょうか。
「やや直しはあるのの、その分切り落されておらず」と述べて居ますが、直しは「やや」と言うレベルではございません。
「切り落されておらず」の部分は、版画の端が破損した時はその部分を切り取ってしまう事が多いののですがこれはそれがされて居ないから良いと言う事を言っておりますが、所詮傷物である事には変わりません。
破損し補修されているのに「保存も悪くない」と言って居ますが大きな矛盾がございます。
「壮年期の代表的な風俗図の一図である」とやたらと通人ぶった批評をしているものの、冷静に考えれば無内容と言わざるを得ず、「壮年期の代表的な風俗図」なら何故朱書きの題名に触れて居ないのでしょうか。
更に、ピーター・モースコレクションの中に良いものがある事は一切触れて居ません。
毎度お粗末な考察をお書き下さる新味正道資料収集員の考察とされるものですが「右側のしみが残念(直し?)」が考察ですから、版画のシミか直しかの区別が付かない者が古美術品の評価などは無理ではないでしょうか。
染健夫資料収集員の考察欄は「瓦焼きなどの風俗-今戸の特色-「隅田川」のとらえ方名作、名勝のみをとりあげるのではなく-生活、経済もうかがわせる作品-資料 10.5万」としか書かれて居ません。
極めて表現力に乏しい考察で一体何が言いたいのか解りませんが、この場面は瓦焼きと言うよりも瓦職人が鬼瓦や瓦作りに精を出し日没をも忘れて働く勤勉さを描いて居ます。
そもそも資料の適否を判断する立場の御仁が「今戸の特色-「隅田川」のとらえ方名作、名勝のみをとりあげるのではなく-生活、経済」が考察ですから古美術品を理解出来るのか大いに疑問を感じます。
河野実資料評価員の考察は資料購入意見書そのものが無いので取り上げる事が出来ません。
この様な体制で毎年1億円の基金がガラクタに捨てられて居ると考えるべきではないでしょうか。