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墨田区が約1億5千万円で購入した北斎肉筆「隅田川両岸景色図巻」について [開館後毎年5億円の赤字!すみだ葛飾北斎美術館]

20151324-1.jpg[カメラ]3月4日に議案審査の為に議員に公開された墨田区が約1億4千904万円で購入を予定していた北斎肉筆「隅田川両岸景色図巻」です。

絵巻物の導入部はご覧の両国橋から舟に乗る所から始まります。

これは葛飾北斎の真筆に間違い無いもので落款には「宇亭焉場応需於談洲楼丸々蜃北斎席画(うていえんばおうじゅおいてだんしゅうろうまるまるしんほくさいがせき)」とあり印章は朱文方印(余白を彫り、文字に朱肉がつく印の意味)「画狂人(がきょうじん)」とあります。

ここから宇亭焉場の依頼により描いたものである事が分かります。

宇亭焉場とは、本所の相生町の大工の棟梁の子として生まれ、幕府管下の建造物や寺社等の営繕を分担した小普請方の下役を務め財を築き芸術の才能もあり落語中興の祖とも言われる江戸時代後期の戯作者や浄瑠璃作家で知られる人物です。

20151324-2.jpg[カメラ]これは現在の吾妻橋に当たる場所の光景で当時も往来する人が多く賑わって居た事が伺われます。

舟は大川(隅田川)上流へと遡り当時の隅田川名所を絵巻は描いて居ます。

20151324-3.jpg[カメラ]大川の竹谷の渡しの先に墨堤の小梅の渡しがあり、朱塗りの塀で囲まれた現在もございます三囲神社(みめぐりじんじゃ)が見えます。

この辺りから舟は今戸川に入り吉原遊郭へ向かいます。

20151324-4.jpg[カメラ]これは吉原遊郭で豪遊するスポンサーの宇亭焉場と中央部に居る茶の着物の人物は文化2年(1805年)当時46歳だった葛飾北斎の姿が描かれ居ます。

この絵巻は、これまでの取得された北斎資料と全く異なり来歴が明らかで、先ず宇亭焉場の依頼で描かれ本所の焉場宅で保管され、明治25年に上野三橋楼で小林文七が主催した古代浮世絵展の目録や飯島虚心の「北斎伝」に登場します。

明治35年には林コレクションの売り立て目録に写真入りで登場しその後海外に売られ、約100年間所在が不明で恐らくコレクターが個人で所蔵したと思われます。

それが最近になってロンドンのサザビーズのオークションに登場し、約80万ポンド(この時点んでの為替レートで1億2千万円で落札されて墨田区に来たものです。

保存の程度も大変良く表装も恐らく当時のままのものと見られます。

取得金も税金では無く3名の篤志の方の寄附で買われたそうですし、墨田区には必要な作品と判断しこの議案には賛成する事に致しました。


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