墨田区議会で可決された契約案件の問題!特定の業者しか落札出来ない仕組みを解説 [墨田区議会]
昨日に引き続き議案第53号物品の購入では「災害用保存食品の購入」と言う契約案件の入札が特定の業者しか取れない仕組みがある事を解説いたします。
ご覧のものは墨田区が毎年購入している「災害用保存食品」の入札仕様書ですが、極めて細かすぎる程細かく仕様が決められており、災害用非常食品なのにまるで特注品と化しています。
お断り:当該契約案件の入札仕様書は、区議会の議決が済むまで出さないと言うおかしな決まりがあるので過去の入札仕様書の内容を提示しています。
こうした部分も改革すべきです。
入札仕様書中身はこうです。
1 品名
保存用ビスケット
2 原料及び熱量 ・
小麦粉、砂糖、ショートニング、練SIL、コーンスターチ、ブドウ糖;食塩、ごま、膨張剤100gあたり450kcal 以上500kcal以下とする。
問題点:練SILとは何か食品添加物らしきものと思われますが正式名称が不明です。
3 原料規格
(1)小麦粉
灰分・O. 6%以下、水分・14. 5%以下、酸度・O. 1 5%以下、粗たんぱく質・9%以上10%以下
問題点:成分がここまで細かく規定されて居ると応札業者によっては入札前に成分分析を検査機関にしてもらわなければなりませんし、これでは入札に間に合いません。
本来なら産地名を指定したり食品規格の範囲を示すべきですが、こうして細かく記載するのは特定の業者が落札し易くする為に記載したものと思われます。
(2)砂糖
上白糖
(3)ショートニング
日本農林規格以上の品質を有するもの
(4)食塩
自然塩又は精製塩
(5)ごま
白胡麻とし病虫害、異物を認めず、乾燥十分な優良品であること
4製品
(1)製品は、5年保存ビスケットとする。
(2)保存用として、異味異臭がなく、食品衛生上有害な異物を認めず、適度な甘味、発酵による酸味を持ち、表面の硬度を保ちながら内面はソフトで形状色択が良好であって、割れひずみ等の不正型品を認めないこと。
問題点:意味不明なでしかも味覚は人それぞれ好みが違う筈なのに味の指定など細かく定めて排他的な内容に終始しています。
(3)製品の水分は5%以下とする。
(4)製品の寸法は、たて標準80mm(±5 mm)、よこ標準40mm(±5mm)、厚さ標準60mm(±5mm)を目安とし、重量1ま1枚11gで、1食分(8枚)は88g標準とする。
問題点:製品の寸法まで細かく定めてしまうと、メーカーの生産ライン自体を特定する事になり、この仕様を満たせるメーカーはこれでほぼ1社に特定されます。
これではTPPが本格的に動き出すと「非関税障壁」として訴訟を起こされる危険性があり、米国の弁護士はこうした規制を設ける自治体を探して居ますので50億円クラスの巨額の損害賠償の訴訟を起こされる可能性が大きいのです。
ここまで細かく規定していると間違いなく「非関税障壁」と国際的な裁判では原告の訴えが認められ請求額通りの判決が出ると思われ、墨田区は国際的な裁判には全く対応できない事が予想されます。
5 包装
(1)個装
ビスケット1食分8枚を次に示すプラスチックフィルムの袋に収め、袋内を270mm/Hg以上に脱気し、口部を熱密封する。上部熱密封のところに開封のため切込みを入れる。
1枚11gで、1食分(8枚)は88g標準とする。
問題点:ビスケット1食分の枚数やプラスチックフィルムまで指定してしまうとこれも特定のメーカーの製品以外は無理になります。
①プラスチックフィルムの品質は、環境への影響を配慮した非PVDCフィルム使用の厚さ65μ以上のものとし、透湿度5g/㎡/24h以下、酸素透過度4cc/㎡/24h以下のものとする。
問題点:プラスチックフィルムの品質もここまで細かく決められてしまうと殆どのメーカーはこの入札だけに対応する事は出来ませんから、依頼しても断られますし、このスペック通りか墨田区が検査する事すら出来ないと思われます。
② プラスチックフィルムは、食品衛生法による食品容器包装用合成樹脂規格(昭和34年厚生省告示第370号)に合致しなければならない。
問題点:これは当たり前の事でまるで入札に参加しょうとする業者へのいやみとしか言いようがありません。
2)包装
① 5の(1)の出来上がり個装したもの64食を18Lのブリキ缶に収める。
②製品の床面及び上面にボール紙S版9号以上のものを各1枚当てる。大きさは缶囗部の寸法とする。
③缶の蓋は、かぶせ蓋とし布製粘着テープで密封する。
問題点:包装がここまで細かく規定された条件、64食を18Lのブリキ缶入る製品は株式会社カニヤの受注生産しているSHIP BISCUITに絞られこの製品は「国内販売はしておりません」と同社が公表して居る商品ですから、他社が調達出来ないものです。
(3)外装用外箱
①ブリキ缶2個を両面ダンボール箱に収める。
②外ひれと内ひれの張り合せは合成樹脂系接着剤を使用する。
③段ボールの貼り合わせ目は、布製粘着テープで目張りをする。
④段ボール箱の外ひれ接合部線と直角の方向に『二の字』にポリプロピレン製バンドを掛け、止め金具で緊結又は熱溶着する。
問題点:この部分を見ますと特定のメーカーの外装用外箱のスペックをそのまま記載した可能性があり、墨田区の入札は形だけのポーズに過ぎず利権を設定し我々の税金を食い荒らす官僚の醜さにあふれて居るとしか言いようがありません。
毎年同じ業者しか落札出来て居ないなら、指名競争入札でこの業者を指名から外せば、誰も応札出来ない筈で、仮に応札出来たとしたら、直接又は間接に当該業者経由で同じ品物が入って来る筈です。
墨田区の今の役人は無知なのか故意なのかわかりませんが、少なくともこうした仕様書が作られた当時は業者との馴れ合いが無ければあり得ない内容と言わざるを得ません。
明日のブログに続きます。