産業都市委員会の区内視察がございましたのでご報告いたします。その1 江戸小紋 [墨田区議会]
6日産業都市委員会の区内視察がございましたのでその視察内容をご報告致します。
写真は墨田区八広2-26-9にある大松染工場の期待の三代目中条康孝氏の作業の様子です。
江戸小紋が墨田区内で作られる様になったのは、江戸中期以降区内に大名屋敷が作られると全国の大名が参勤交代で江戸に住む様になると録の少なかった下級武士が裃を内職で作る様になった事から始まったそうです。
その一部が専業で染める様になり現在まで代々引き継がれ今もごく僅かながら続いて居ます。
今では伝統の技術に様々なアレンジを加えご覧の様な葛飾北斎の富嶽三十六景本所立川を小紋柄を組み合わせて描かれ居ます。
これは細密な小紋柄の「極江戸小紋」です。
江戸時代上級武士が将軍に直接拝謁する御目見(おめみえ)の場で身に付ける裃の柄はこの様な柄でした。
江戸小紋は、和紙に柿渋を何度も塗り固められた台紙に細かい抜き目を彫刻して染の原版が作られます。
柄や模様が細かい程当然時間がかかり作業工程は増えますので大変高価なものになります。
これは「文久小紋」と呼ばれる多色染めと言うか多版染めで作業工程が倍以上になる為、大変高価でこの反物1つが25万円以上します。
「文久小紋」と呼ばれる名称から文久時代、つまり幕末頃に誕生した小紋かもしれません。
やはりこうした伝統工芸は一度絶やしてしまいますと二度と戻せない可能性が高かいので社会全体で守り伝承させて行く必要がございます。
最近では世界的な景気の低迷で消費が低迷する中でこうした伝統工芸をどうやって守って行くかは重要な政治的な問題でもあり国益にも関わる問題ですから真剣に考える必要があります。
着物を着る人も限られてしまい、着物を新調するにも反物1本で10万円以上しますし家紋を入れたり、裏地を付け必要もあり和裁に出しますと更に3~5万円位かかります。
しかし、一度作ってしまいますと親子代々で着られますし、非常に着心地が良いものです。
また、粋な遊び着に使われながら大変高価な大島紬は結婚式など正式の場所では着られませんが、江戸小紋は正式な場所でも着られます。
あなたも江戸小紋を1着いかがでしょうか。