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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その17労働 [世界経済と日本]

20150927-1.jpg[カメラ]今日は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その17労働について解説致します。

低賃金労働による安価な産品の輸出はダンピングと見なされる様になりました。

そこで先進国は、労働基準の遵守と貿易自由化とを結び付ける社会条項の必要性がある事を主張しています。

一方の低賃金労働で稼ぐしかない途上国の多くが、社会条項反対しています。

先ず先進国の言う労働基準の遵守とは具体的に4つの基本原則を言い結社の自由、強制労働の禁止、児童労働の禁止、雇用と職業における差別の排除をILO宣言等に掲げています。

更に、途上国が労働基準を緩和することで貿易や投資を促進することは公正でないこと等を主張しています。

北米労働協力協定には、高い労働基準の確保を求める等の規定が設けられる様になり、低賃金労働で稼ぐビジネスモデルに今後変化が生じて来るものと思われます。

こうした状況を考えますとTPPでは世界の労働基準を統一し、その中での競争が促進される様になる事が予想されます。

しかも国際的に統一された労働条件でもその単価が安い所に生産が向かいますので低賃金労働の競争が起こり世界の労働者全体の所得が下がり生産者とそれ以外の職業で格差が拡大する事が予想されます。

TPP自体が米国の金融資本の発想ですので労働基準を統一して均一化すれば労働を金融商品に変えて先物取引が行われる様になるかも知れません。

例えば、今後労働賃金が上がると思えば労働金融商品を作り先物で買って、労賃が上がったら売ると言う取引で儲けられる訳でその儲けは結果的に労賃の上昇の中から捻出される事になります。

一生懸命働く人が生活するのがやっと言う状況の中でもこうしたマネーゲームで金融商品を作りだしてしまう人達はこれを売り買いするだけで巨額のお金を稼ぎ出せる可能性が広がる訳です。

TPPの本当の狙いは、世界の商品や労働、環境までもが統一基準化されそこから金融商品が作られこれを売り買いすれば儲かると言う意図で行われて居るのではないでしょうか。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その16 環境 [世界経済と日本]

20150926-1.jpg[カメラ]今日はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その16では環境について取り上げてみましょう。

近年の南米やインドネシアのパプアニューギニア等で森林伐採による自然環境が破壊され未開の土地で暮らす土民生活が破壊されたり希少動物の保護を反映し貿易や投資からも環境規制が必要になって来て居ます。

後進国で起こって居る現象は競合する国が環境規制のレベルを下げて生産を促進すると、自国が不利になる為に、環境規制を緩和して生産を増大させる環境規制の緩和競争に陥りやすい傾向があります。

また、環境保護名目で貿易制限措置が取られ過ぎてしまいますと結果的に保護貿易になってしまう危険性がございます。

こうした背景から、各国が環境を守る為の義務を果たし、環境規制を保護貿易に悪用させない為に、貿易や投資促進のために環境規制を緩和することが無い様に規定する必要がございます。

経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)では、投資章の中に投資促進のための環境規制の緩和が不適当であること等の規定が盛り込まれておりますし、TPPでも盛り込まれ事が予想されます。

これに関連して、アメリカ合衆国通商代表部(Office of the United States Trade Representative, USTR)は、2011 年12 月5日、「環境保全及びTPPに関するUSTRグリーン・ペーパー」を発表しています。

これは、野生動物の違法取引、海洋漁業(漁業補助金、サメやくじらの保護)、違法伐採の3分野の規定について提案が行われて居る様で一定のルールが求められています。

上記の漁業補助金についてWTOでは、米国、チリ、ニュージーランド等が漁業資源の減少につながるとして漁業補助金を原則禁止とすることを主張して居ます。

これに日本、韓国、台湾等が漁業補助金は資源管理に貢献しており、過剰漁獲につながる補助金のみを禁止する方式を主張しTPP交渉では漁業補助金の削減について見送られる可能性が強い様です。

TPPでは、自然環境保護と生産との微妙なバランスで環境規制が緩和される恐れがありますので今後の動きを注視する必要がありそうです。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その15 投資 [世界経済と日本]

20150923-1.jpg[カメラ]今日は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その15投資について解説致します。

TPPで言う投資とは、日本の企業が海外に工場や会社を設立したり、海外企業の株式を取得したりすることを「海外投資」を言います。

1980 年代から1990 年代にかけて、世界の海外直接投資は急速に拡大しましたが、投資に関しては現在も普遍的な多国間条約は存在しないのが実情です。

その背景には各国思惑や利害関係があり自国の投資家やその投資財産を保護する必要性があるからです。

その一方では、途上国では国際投資を積極的に誘致したいと言う思惑から国際投資の保護と自由化に関する制度をが求められ、海外投資に関する規制をできる限りなくし、投資を自由に行える環境を整え、投資家および投資財産を保護するという日本と外国の約束が「二国間投資協定(BIT:Bilateral Investment Treaty)」で、これを締結してきました。

20150923-2.png[カメラ]日本と外国の約束が「二国間投資協定(BIT)」の推移を示すグラフですが、海外直接投資の拡大とともに1990年代に急増し、2012 年末現在で二国間投資協定の数は2,857 に達しています。

投資は国際企業活動に欠かせない柱ですので、多数の国の間で適用する投資ルールができあがるまでは、二国間や複数国の間で協定を結び、投資をしやすい環境を創り出す努力をしているのが現状です。

二国間投資協定やFTA投資章に規定されている主な内容は以下の様に分類されます。

「内国民待遇」外国の投資家及びその投資財産は、投資受入国の投資家及びその投資財産に与えられる待遇よりも不利でない待遇が供与されること。

全ての分野が自由化される事は無く、各国による外国投資の出資規制は例外として別枠で扱われ、これを列挙して自由化することをネガティブリスト方式といいます。

逆に、約束リストに記載した分野のみ自由化することをポジティブリスト方式と言いますが、TPPではネガティブリスト方式を基礎とする交渉が行われて居る様です。

「最恵国待遇」投資受入国は、投資家及びその投資財産に対し、第三国の投資家及びその投資財産に与える待遇よりも不利でない待遇を与えるものを言います。

「公正衡平待遇」一般に慣習国際法上の最低基準として、投資家及びその投資財産に対し、公正かつ公平な待遇並びに十分な保護及び保障を与えるものを言います。

「収用と補償」投資受入国が投資家の投資財産を収用又は国有化した際に補償に係る基準が規定されます。

「パフォーマンス要求(特定措置の履行要求)の禁止」投資受入国が投資家の投資活動の内容に対して課する条件をパフォーマンス要求と言います。

この代表的な例は現地調達要求と輸出入均衡要求などがありこれを禁止していますが新たに技術移転要求や役員国籍要求も禁止される方向で進むものと思われます。

「紛争解決手続」国家間の紛争処理に関する規定のほかに、一般に投資受入国と投資家との紛争を裁判等の仲裁によって解決するものですが、投資家が受入国の裁判所で訴えた場合、支那や韓国の様に不利な司法判断を受ける可能性もあるので今後この議論も進むものと思われます。

TPP交渉では、紛争解決手続について、投資家が国家を相手に投資紛争解決国際センター(ICSID)等の仲裁に付託することができる「投資家と国家との間の紛争解決(ISDS)手続」の規定が注目されます。

ISDS手続が盛り込まれれば、我が国においても、外国投資家から我が国に対する仲裁が提起される可能性高く、狙われるのは国民健康保険制度や医療や農業分野で仲裁が提起される可能性が考えられます。

仲裁手続として活用されているのは、ICSIDが過半数を占め、その他にUNCIRAL(国連国際商取引法委員会)などが続きます。

過去に日本企業がISDS手続を利用した例は、野村證券のオランダ子会社がチェコ政府を訴えた件(2006 年)の1件のみで、逆に日本政府が訴えられた例はございません。

しかし、投資仲裁に訴える場合には、多額の費用と期間(3~4年)を要し、問題解決の手段は必ずしも投資仲裁に限らず、調停により和解に至る例もあり、経済力と交渉力が求められます。

特にISDS条項は訴訟が頻繁に起こされる可能性が高いので注意する必要があります。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その14 電子商取引 [世界経済と日本]

20150921-1.jpg[カメラ]今では世界中からインターネットを通じてあらゆるものが買えるので利用の仕方次第では大変便利になって居ます。

かってはお店で買い物をしましたが、今ではインターネットで売り主から直接買える時代になりました。

今日は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その14電子商取引について解説致します。

世界的なインターネットの発達から、電子商取引の利用に対する代金決済の方法が簡素化され取引先同士の信用も確保されスムーズな取引が行われる様になりました。

当然、商品を供給する側も利用する消費者にとっても電子商取引の利用に対する障害を回避する重要性が認識されれるのは当然です。

1998 年5月のWTOの第2回閣僚会議で「グローバルな電子商取引に関する宣言」が採択され、その中で「加盟国が電子送信に関税を賦課しないという現在の慣行を継続すること」が宣言されました。

TPPでもグローバルな電子商取引には課税しない事が決められるものと思われます。

これを関税不賦課モラトリアムと言い、これにより現在は、海外からのソフトウェア等のダウンロードに関税が賦課されていません。

そこで最大の恩恵を受けるのが音楽、映像、PCソフト業界、電子出版業界で莫大な売り上げを挙げても税金を支払う必要が無いのですから事業として面白い反面リスクもございます。

問題は例えば昔ながらのレコード店が無くなってしまい、音楽CDや映像ソフトまでもが店舗で売られる事が無くなり全てネット上からダウンロードされる様になるとこうしたお店が時間の問題で消滅する可能性があります。

更に問題なのが、ダウンロードされた作品が違法にコピーされて出回り流通してしまうと本来の著作権者に印税が入らなくなってしまう恐れもあります。

コピーを防止する為に様々のプロテクトをしても、そのプロテクトは直ぐに外されてしまうのが実情です。

加盟国が電子送信に関税を賦課しないという良い面がある様ですが、ダウンロードされた作品が違法にコピーされても各国の政府は税金を払わない商行為なのでそれを取締らないか消極的になる恐れがあります。

その為国際条約等で著作権の管理の徹底を求められ違反すれば多額の制裁を課す様になると予想されます。

今後も電子商取引は更に進化すると思いますし、10年後20年後には大きく変貌する可能性が予想されますので、技術革新と時代の変化に適応出来ない者との格差はかなり開いてしまうものと思われます。


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日経平均株価乱高下にに見る株価の危険性!複数の爆弾を抱えた株価の状況! [世界経済と日本]

20150918-1.png[カメラ]7月の8日9日で1200円以上下落しその後短期間で乱高下を繰り返す日経平均株価は更に大幅に下落する可能性があり波乱が予想されます。

最近の株価に関する報道を見て居ると「支那株も下がっていない」とか「米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送った」ことを強調する様に伝えて居ます。

しかし、国家統制で株価下落を阻止して居る支那株を判断材料にする事は危険極まりないと思います。

また、今回米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを見送ったとしても何れは利上げをせざるを得ない状況は変わって居ません。

更に日本国内の景気はどうでしょうか、タクシーの運転手さんなどに感触を尋ねますと多くの方が最近悪くなったとおっしゃる方が多いですし、飲食店の売り上げは非常に悪く構造不況業種と化して来て居ます。

株価のレンジが2万円台から1万8千円台に変わって居るのに、「買い圧力」を強調する報道に不快感を感じるのは私だけでしょうか。

明らかに相場は下落局面を迎えており、そう遠く無い時期に大幅な下落局面があると予想します。

その背景には、日銀が今月7回目の長期国債買い入れオペ(総額8200億円程度)を実施し、市場に資金を供給していますが、残存期間1年超3年以下、3年超5年以下の応札倍率は前回のオペから低下しています。

今月は残り5営業日のうち3営業日全てで日銀買いオペが実施される見通しで積極的に資金を供給しているにも関わらず、銀行ではお金を借りてくれる人が僅かなのです。

そのため余った資金が国債へ向かっており、それを裏付ける様に国債の利回りは低下を続けて居ます。20150918-2.png[カメラ]これは国債の利回りの動きをチャートにしたものですが利回りが下がり続けて居ます。

アベノミクスで大規模な金融緩和をしても結果的に市場に回らずに国債が買われ、政府は安い金利でお金が借りられるので毎年歳入の倍の40兆円もの借金を繰り返す体質から抜出せません。

金融緩和をするなら同時に効果的な経済活性化の柱となる政策が必要ですが、これが何にも示されませんから誰も動けませんし、金融政策だけでは限界が来ているのです。

このまま放置しますと財政赤字が膨らみ続けるだけです。

結論から言うと効果的な経済活性化の柱となる政策が出て来ない限り株価の上昇期待出来ませんし、実態経済が良く無ければ景気は良くなりません。

何よりもマスメディアの嘘に騙されない様に行動すべきではないでしょうか。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その13 サービス5 [世界経済と日本]

20150830-1.jpg[カメラ]アメリカから自動車の部品を輸入するとご覧の様な通関書類と納税証明書が現在が必要ですですが、TPP交渉ではこれが撤廃されるものと考えられます。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その14 サービス5は電子商取引について解説致します。

14.電子商取引

最近アマゾン等でインターネット上から注文すると海外から発送されて来る事がある事に気付かれた方も多いのではないでしょうか。

また、インターネット上から直接海外のサイトにアクセスして注文する事も可能になり日本国内で手に入らない、入り難いものが直接注文出来る様になり比較的安く手に入れる事が出来る様になりました。

この様に国際的な電子商取引が増えて来ますとその利用に対する信用確保や電子商取引の利用に対する代金の決済や通関、課税、送料等の障害を回避する必要性を認識されている方も多いのではないでしょうか。

最近では海外のサイトからソフトウエア-をダウンロードして購入する事も多くなりました。

これには課税がされない事をご存じでしょうか。

これはWTOで「グローバルな電子商取引に関する宣言」が、1998 年5月の第2回閣僚会議で採択され、その中に「加盟国が電子送信に関税を賦課しないという現在の慣行を継続すること」が宣言されたからです。

これを関税不賦課モラトリアムと言います。

これにより、海外からのソフトウェア等のダウンロードに関税が賦課されていない訳で、裏を返すと国内のソフトでも国内で買えば消費税がかかりますが、同じソフトを海外のサイトからダウンロードすれば消費税がかからない分安くなる可能性があります。

日本が締結したEPA(Economic Partnership Agreement)経済連携協定では、スイスとのEPAに初めて電子商取引章が盛り込まれました。

これは、ダウンロードされたソフトウェアや音楽データ等に、内国民待遇及び最恵国待遇が規定され、更に、WTOの関税不賦課モラトリアムの恒久義務化へ向け協力すること、電子署名、電子認証、貿易文書の電子化、オンライン消費者保護等が規定されています。

しかし、CD等の運搬用媒体に記録されたソフトウエア-には物品貿易章の規定が適用されます。

米豪FTAでは、関税を恒久的に賦課しないことが明記され、デジタル・プロダクトの範囲についてもCD等の運搬用媒体に固定されたプログラム等が含まれています。

EU( European Union)欧州連合は、電子商取引はサービス貿易の規律でカバーできるとして、電子商取引に独自のルールを設けることに消極的だと言われて居ます。

TPP交渉が締結されますと関税が結果的には廃止される可能性が高く、海外の製品が安く買えると言うメリットの反面、国内外の産業が激しい価格競争に晒されますし、税金が入って来ませんから政府の財政赤字の拡大に歯止めがかからなくなる恐れがあります。

また、政府が徴税が益々困難になりますと富の再分配が行われ難くなり、最終的には富める者と貧しい者との格差が米国並みに進むと思われます。

海外では大富豪が防弾装備付きの車で移動したり、武装した警備員を付けて居るのは、貧富の格差による治安の悪化による強盗や誘拐から身を守る為にその分のコストを支払う必要が生じて居る事を意味します。

TPPにより日本国内でも激しい格差が生じて来る事が予想され、政府の財政赤字もこのままでは更に進んでしまいますので、貧困層の拡大にセフティーネットが対応出来るのかも真剣に考えるべきではないでしょうか。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その13 サービス4 [世界経済と日本]

20150829-1.jpg[カメラ]TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その13ではサービス(電気通信)について解説致します。

13.サービス(電気通信)

GATS((General Agreement on Trade in Services))サービスの貿易に関する一般協定の附属分書には、加盟国は自国の約束表に記載するサービスに関し、他の加盟国のサービス提供者に、合理的かつ無差別な条件で公衆電気通信伝送網やサービスへのアクセスと利用を認めることがサービス貿易協定第4議定書で定めています。

基本電気通信分野については、事業者の規律として主要な事業者による反競争的な行為の禁止、相互接続の確保、緊急通報のユニバーサル・サービス、公平性を担保する為の免許基準の公表、独立して規制監督機関、レアメタル等の希少な資源の分配と利用が定められている。

例えば以前は携帯電話の会社を変えると電話番号も変わってしまいましたが、10年程前から携帯電話の会社を変えても電話番号が変わらずに使える様になったのもこの為です。

TPP交渉では、電気通信サービス分野の競争を促す事を目的にしており、主要な電気通信事業者による反競争的行為の禁止や相互接続の義務化をして競争原理が働き易い様にする事が議論されている様です。

しかしながら、国際的な競争が激し過ぎますと大手が中小を併合して益々規模を拡大して、最終的には最も強い企業だけになってしまいますと競争原理が働かないと言う矛盾が生じます。

それを補う為に、交渉参加国間が既存のFTAで規定されている通信インフラへの公平なアクセスや既存の電気通信設備への第三者による設備設置、相互接続、周波数割当、透明性、競争等での共通のルール設定を検討しています。

それ以外では、規制の透明性の強化、規制機関の決定に対する事業者の不服申立てや上訴の権利、電気事業者による技術の自由な選択を政府が妨げないこと、高価な国際携帯ローミング料金への対応等も議論されている様です。

恐らくTPPが導入される頃になると、恐らく携帯電話やインターネット接続の料金も世界中が統一の料金に向かうものと思われます。

TPPはグローバル社会を目指す方向ですから電気通信サービス分野は全てに繋がる重要な情報アイテムですし、電気通信サービスは技術の進歩で大きく変化して来るものと思われます。

ここで注意しなければならない事は全ての情報が世界的に共有される事になります。

例えばあなたがWeb等で商品を見て居る情報が世界的共有されてしまい、消費性向や消費金額、興味のある商品を分析し、購入時期にダイレクトメールが届いたり、インタラクティブ広告が現れるのが当たり前の社会へと変化します。

裏を返すと、競合先が世界的に拡大しますから強い企業しか生き残れない時代になると思われます。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その13 サービス3 [世界経済と日本]

20150824-1.jpg[カメラ]以前私が呼ばれ一週間程滞在したアメリカのミシガン州立大学での講義風景、同大学では世界中から講師を呼んで特別講義を実施していました。

こうしたサービスをTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野の中では越境サービスと呼び議論されています。

13.サービス(越境サービス)

サービス貿易とは、金融、運輸、通信、建設、流通、学問、文化、芸術等のサービスの国際取引を言います。

サービス貿易の自由化は、サービス貿易の特定の分野や貿易形態について、市場アクセスを妨げる様々な国内規制や措置を取り除くことにより行われる。

WTOサービス貿易協定(GATS(General Agreement on Trade in Services ))は155 業種のサービスを4つのモードに分類し、サービス貿易の自由化が図られています。

ここの4つのモードとは、

1.越境取引は、海外在住の経営コンサルタントから電話で経営のアドバイスを受けるなど海外のスペシャリストから通信でアドバイスを受けたり電子データーを海外のサーバーで管理する等を言います。

2.国外消費、観光客が海外の旅先で消費する買い物やサービスの提供を受ける事を言います。

3.商業拠点、銀行の海外支店や大手デパートの海外店舗と示します。

4.人の移動、ハリウッドスターの新作映画の宣伝で来日したり、世界的なアーティストが公演の為にやって来るなど。

サービス貿易の自由化阻害要因は、内国民待遇、最恵国待遇、国内のサービス市場への参入に対する量的な制限があり、例えば量的な規制、外資の出資比率制限、国籍要件等があります。

TPPでは、あらゆる分野の国内規制や制限等の措置を取り除くかが交渉の対象となります。


交渉の成果は、自由化する分野を国ごとの約束表に列挙するポジティブリスト方式や自由化しない分野に適用される非適合措置を国ごとの留保表に列挙するネガティブリスト方式があります。

ネガティブリスト方式では、市場アクセスや内国民待遇等の適用を留保している場合、そのような措置を協定発効当時よりも貿易制限的なものにしないとする義務を負いこれをスタンドスティル義務と言います。

TPP交渉では、GATSや既存のFTAで約束した自由化の水準を上回るサービス貿易の自由化を目指しており、交渉の成果はネガティブリスト方式でまとめられる可能性が強そうです。

越境サービスの人の移動について、他国の資格や免許を相互に認め合う相互承認については、TPP発効後に議論する枠組みが検討されていて、医師等の個別の資格や運転免許等の免許は相互承認され様です。

これからのグローバル社会では国際的に通用する資格や技能を持つのが常識になるかも知れませんし、その道のスペシャリストは世界的に活躍出来る場が提供される事を意味します。

しかし、国際的に通用する資格や資質を持つ人と持たない人との間には格差は益々広がり、格差を無くす為の富の再分配についても議論されるべきではないでしょうか。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その12 サービス2 [世界経済と日本]

20150822-1.jpg[カメラ]日本の金融街、ここで取引される金融商品もTPPではその範疇に含まれます。

今日はサービス2の金融サービスについて解説してみましょう。

12サービス(金融サービス)


GATS(General Agreement on Trade in Services )「世界貿易機関を設立するマラケッシュ協定(以下WTO協定)」の一部に、サービス貿易の障害となる政府規制を対象とした初めての多国間国際協定があります。

その中には、金融サービスに関する附属書には、金融サービスの定義に加え、投資家、預金者。保険契約者の保護や金融システムの安定性確保を内容とする信用秩序維持の措置が規定されています。

金融サービスについてGATSの金融合意に基づき、加盟国が任意で、現状維持(スタンドスティル)、市場アクセス(独占権、公的機関が購入する金融サービス、国境を越える取引、業務上の拠点、新たな金融サービス、情報の移転及び処理、人員の一時的な入国、差別的でない措置)、内国民待遇に合意しているものです。

TPP交渉参加国のうち、こうした金融サービスについて約束をしているのは、国際金融市場を持つ米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本の4か国だけです。

TPP交渉では、透明性、内国民待遇、最恵国待遇、新しい金融サービスの公正な扱い、投資保護、ISDS((Investor‐State Dispute Settlement)投資家と国家間の紛争処理)条項の金融サービス章への適用等に加え、信用秩序維持の措置について交渉が行われている様です。

ここにあるISDS条項の危険性は、保険サービスの供給における公的機関と民間との対等な条件の確保について取り上げられている為に、日本の国民健康保険制度が狙われており、日本がこれに合意してしまうと現在の国民階健康保険制度が崩壊してしまう危険性がございます。

国民健康保険制度についてはGATSでは公的医療保険制度など国が実施する金融サービスの提供も議論の対象外となっていますが、TPPではこれをどうするかは現時点で話し合われ居ない様です。

更に、JP日本郵便や共済の等が行って居る保険等の個別分野の扱いについては全く明らかにされておらず、国有企業は、競争政策分野の交渉において取り扱われるそうで今後混乱が予想されます。

米国のTPPの狙いには米金融資本家が日本の国民健康保険制度を崩壊させ米系の保険会社がこれに変わり莫大な利益を狙って居るものと思われます。

日本の国民健康保険制度が崩壊させられますとマイケル・ムーア監督の「シッコ (sicko)」(意味:狂人)と言う映画で詳しく取り上げられて居ますが、医療を受けるには高額の保険料を支払わなくてはならなくなってしまいます。

この映画では、高額の保険料が支払えない為に病気で死亡する人や事故で適切な高度医療が受けられない為に手足を失う人々が登場します。

つまりTPPで日本の国民健康保険制度が無くなり、儲け主義の米系保険に頼らざるを得なくなる危険性があります。

こうした保険は、貧困層の加入が多い契約額が低い保険では適用除外項目の中に、治療費が高額となる疾病の殆どが記載されており、病気になっても保険の適用除外で保険が使えず、結果的には手遅れとなり死亡してしまいます。

TPPは慎重に交渉しないと多くの人命や競争に付いて行けない人々の生活が大きく変わり、貧富と格差が生まれる事に注意すべきです。


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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その11 サービス1 [世界経済と日本]

20150821-2.jpg[カメラ]国際空港化が進む羽田空港。

今日はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の21の交渉分野とは何か?その11はサービス(一時的入国)を解説致します。

11. サービス(一時的入国)

GATS(General Agreement on Trade in Services )サービス貿易の障害となる政府規制を対象とした初めての多国間国際協定の中の附属書(人の移動に関する附属書)には、サービス貿易の形態の一つとして人の移動を規定しています。

この中の人の移動に係る規定は、商用関係者の入国や一時的な滞在について定めるもので、単純労働者の入国や就労を対象とするものではありません。

自由化の約束は個々の加盟国に委ねられ、個別のサービスではなく、海外の支店に配属される企業内転勤や会合や会議等で短期滞在する場合や、独立した専門家例えばデザイナー等の自由職業サービスを提供する人々等のそれぞれの分野のプロフェッショナルが含まれる事が多い様です。

Agreement、Pacific 4 Agreement 所謂P4協定は、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイの4ヵ国で締結された包括的な経済連携協定の通称では、締約国の商用関係者の一時的入国についてのみ、入国管理手続きを簡素化・透明化・円滑化することを規定している。

現在交渉中のTPP交渉においてもP4協定と同様に単純労働者の移動は議論の対象とされず、短期商用、企業内転勤、投資家、サービス提供者などの一時的滞在や入国について約束を行う方向で調整が行われて居る様です。

具体的には、申請の処理の透明性や効率性の向上、何処までが商用関係者の範疇なのかや、各国が共通のルールを共有できる形で調整されるものと思われます。

商用関係者とは国際的な金融の取引を行う為替ディラー等は海外の金融市場へ行っても取引は英語で統一されて居ますから海外でもそのまま仕事が出来てしまう人達で、国際的な商取引を行う商社マン等が該当します。

TPPでは人やものが自由に移動する事を目指す点では良いメリットがある反面それによる競争の激化や世界的に活動してお金を稼げる人とその国のなかでしか活動出来ない人との格差が拡大し貧富の格差が生まれてしまいます。

例えばハリウッドスターは全世界で認知されますから全世界で活動し、羽田空港へのプライベートジェット機でやって来ても採算が取れる程多くのお金を稼いで居ます。

その反面、徒歩やバス、電車でしか移動出来ない営業マンとの格差はご想像していただければ分かると思います。

TPPに加盟すると言う事は今後この様な格差社会が一層進む事を意味しています。


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